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AMERICAN SPIRIT • SWISS PRECISION
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世界初のLED式デジタル腕時計が復刻! 「ハミルトン PSR」のデザインを語ろう。

 写真:宇田川淳 文:篠田哲生 スタイリング:石川英治

 

古代エジプトの日時計から始まった時計は、ゼンマイ仕掛けの機械式時計として世界に広がった。時計産業の中心地であるスイスでは、この人智の結晶を大切に守っている。しかしアメリカ生まれのハミルトンは、まったく新しい技術で時計の未来像を開拓してきた。その代表作「ハミルトン パルサー」が、誕生50周年の節目に「ハミルトン PSR」として復刻した。その魅力をスタイリスト石川英治氏に語ってもらおう。

新作「ハミルトン PSR」は、1973年に発売された「ハミルトン P2」を復刻したもの。当時のデザインを克明に再現するために3Dスキャンを行い、やわらかなフォルムをつくり出した。この姿に心を躍らせる人は少なくないだろう。

史上初のLED式デジタルウォッチとして、1970年5月6日に発表された「ハミルトン パルサー」。アメリカでは前年にアポロ11号が月面着陸に成功し、世間は新しいテクノロジーが切り拓く便利な時代の到来に期待感を膨らませていた。 後にスペースエイジとも称された時代の空気感を受けて生まれたのが「ハミルトン パルサー」であり、丸みを帯びたケースデザインは、それまでの“腕時計”とは一線を画す近未来的なスタイルをもっていた。機能もユニークで、1962年に発明されたLED(発光ダイオード)を使って時刻をデジタル表示する。ちなみにLEDは、消費電力が大きいため常時点灯ができなかったので、サイドのボタンを押した時だけ時刻を赤く点灯させるという仕組みだった。

世界のセレブリティを夢中にした、独創的な機能とデザイン

復刻した「ハミルトン PSR」は、1970本限定のイエローゴールドPVDモデルとステンレススチールモデルの2種。右側に見えているのは、スタイリスト石川氏が所有している1970年代につくられた「ハミルトン パルサー」。

スイスブランドに代表される正統派の腕時計とはまったく違ったデザインや機能、そして時計でありながらボタンを押さない限り時間が表示されないという前衛的な機構が評価され、アメリカで大きな話題となった「ハミルトン パルサー」。この独創性に魅せられたのは、新しいモノ好きのセレブリティたちだった。 初代モデル「P1」のイエローゴールドPVDモデルは、なんと当時の自動車1台分に相当する2,100ドルという価格だったが、ハミルトン愛好家として有名なエルヴィス・プレスリーは、すぐにこの時計を買い求めたという。「P2」はキース・リチャーズやエルトン・ジョン、そして当時のアメリカ合衆国大統領だったジェラルド・フォードが愛用していたという話もある。時代の最先端であった「ハミルトン パルサー」は、時代の寵児に愛されたのだ。

日本でこの時計が脚光を浴びたのは1990年代後半のこと。ヴィンテージデニムやアメカジのブームに合わせるように、レトロなデジタルウォッチが人気を集めていた。裏原宿の小さな時計店では、数十万円というプレミア価格で販売されていたこともあり、ファッション好きの中ではカルト的人気を集めていたのだ。 スタイリストの石川英治もまた、「ハミルトン パルサー」に魅了された人物のひとり。ファッションスタイリストであるだけでなく、多くのメンズ雑誌の時計企画でプロップスタイリングを担当し、さらには国内時計ブランドのディスプレイやスイス時計ブランドのムービーのディレクションも行うという彼は、時計を知り尽くした玄人といえるだろう。

石川さんが選んだのは、1970本限定のイエローゴールドPVDモデル。「ブレスレットはあえてゆるめにして、ジャラッとした雰囲気でアクセサリー的に使いたいですね」

新作「ハミルトン PSR」の最大の進化は、画面表示にある。かつては電池寿命を延ばすためにLEDの点灯時間がきわめて短かったが、本作は常時表示の液晶画面のその上に、ボタンを押すと点灯するOLEDの時刻表示が収まる。

「僕がハミルトン パルサーに興味をもったのは2000年代に入ってからですが、その原体験をひも解くと少年時代のゲーム機にありました。その当時、赤色LEDを使ったゲーム機があって、その赤い輝きが好きだった。それと同じ雰囲気の時計があると知って、すぐにイーベイでオリジナルのハミルトン パルサーを数点落札しました。この時計の魅力は、なんといってもLEDがつくり出す赤い光です。芯があるけどモワンとにじんでいる独特の光が、なんともノスタルジックで、少年時代を思い出すのです。だから僕にとってハミルトン パルサーはコレクターズアイテムであり、使ったことはありません(笑)。でも新作のハミルトン PSRは別。使いたい。ハミルトン パルサーが完全復刻すると聞いた時は、嘘でも大げさでもなく、心臓がドキドキしましたね」

進化した時刻表示、アメリカ発祥ブランドとしての個性。

優雅な曲線を描くケースは、オリジナルモデルを3Dスキャンして再デザインしたもの。ブレスレットの質感はかなり向上しており、高級感や装着感を増している。

「実際に時計を見せてもらったら、本当に素晴らしい出来だった。丸みを帯びたケースのデザインは当時の雰囲気がありますし、これだけ技術が進化したいまでも、時刻しかわからないという単機能もいい。時刻表示はOLED(有機EL)に進化したことでかなり綺麗になりましたが、それでも赤い光の雰囲気はしっかりと残っています。省エネ化したことでOLEDの点灯時間が長くなったのも嬉しいですね。液晶とOLEDの二重表示にして常に時刻がわかるようになり、時計としての機能性はかなり高まったわけですが、僕にとっては時計は時刻を知るための道具じゃない。世界的な時計見本市であるジュネーブサロンやバーゼルワールドにも何度も足を運びましたが、欲しいなと思うのはハミルトン PSRのように、デザインに個性があるものばかりです」

「スタイリストという仕事を考えると、腕時計とファッションの相性を考えるべきかもしれませんが、現代の腕時計って欲望の対象になっていませんか? だからスマートに使いこなすっていうのは無理だと思うんです。腕元に自分の欲望がむき出しになっているのだから、ファッションに合わなくたっていい。好きな時計を好きなように使えばいいんです。ハミルトン PSRはまさにそうやって楽しむ時計だと思う。アメリカの19701980年代のプロダクトデザインは、近未来的で独創的なので他とは馴染まない。モノ自体が強いメッセージを発しているので、人に寄り添うことはあり得ないのです。しかしそれがいいじゃないですか。歴史を重んじるスイスの時計ブランドとは違った独立独歩の精神は、さすがアメリカ発祥ブランドですよね。ハミルトンらしさを濃厚に堪能できます」

イエローゴールドPVDモデルなら華やかに、ステンレススチールモデルならカジュアルに、それぞれ異なる魅力を腕元に与えてくれる。「ハミルトン PSR」デジタル、ステンレススチール、ケースサイズ34.7×40.8mm、10気圧防水。イエローゴールドPVDモデル¥132,000(税込)、ステンレススチールモデル¥99,000(税込)

1892年にアメリカのペンシルバニア州で創業したハミルトンは、世界各国の戦場で活躍したミリタリーウォッチ「カーキ」や、世界初の電池式時計「ベンチュラ」など、他にはない個性的な腕時計をつくってきた。現在は生産拠点をスイスに移しているが、それでも“AMERICAN SPIRITSWISS PRECISION”というスローガンを掲げており、アメリカ発祥ブランドであるという個性を忘れてはいない。輝かしい未来を夢見ていた1970年代を象徴する世界初のLEDデジタルウォッチ「ハミルトン パルサー」を復刻した「ハミルトン PSR」は、ハミルトンの哲学を受け継ぐもの。腕時計として楽しむだけでなく、その存在や文化自体に価値があるのだ。

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